○○工場内アスベスト建材の調査
御社、○○工場様のアスベスト(石綿)含有建材の調査いたしましたので、現在までの結果を当店の所見を含めましてご報告申し上げます。
◎使用建材の商品名、製造時期など詳細が不明でつき、アスベストの含有の可能性をご報告するのみです。正式なアスベストの含有の有無については分析機関での調査が必要です。
はじめに
アスベストは最近の報道などで、一般からも注目されるようになりました。俗にキラ−ダスト、キラ−ファイバ−(人殺し繊維)などと呼ばれています。しかし性能的には大変良い材料で、アスベストを含有していない建材を捜すのが難しいほど広く建材に使用されていました。現在問題になっているのは、飛散する吹き付けアスベストなどです。今のところ成型板などは製造や施工、解体に携わる場合を除いて、建物を使用するするだけならほとんど問題は無いとされています。しかしながら非飛散性アスベストでも切断、解体時には大量のアスベストが飛散することが分かってきました。アスベスト含有している建材の使用状況の把握が必要です。
1.調査日 平成17年9月
2.調査場所 株式会社○○△△工場様
3.調査内容 アスベスト含有建材の使用状況
3.調査方法 設計図書での確認、調査員の目視
5.点検者 ○○○
6.担当者 原 徳久 一級建築士 第○○○○○号
7.調査結果
工場内のあらゆるところで、アスベスト(石綿)を含有している建材が使用されています。その総量も膨大な量です。特に飛散する可能性がある吹き付けアスベストは△△棟と○○棟で見つかりました。その他は形成板と呼ばれる物で今すぐに飛散する心配はありません。
○○棟は食堂はすでに囲い込み(天井設置)よる対策済みです。△△棟2F事務室の天井材は有孔ボ−ドと呼ばれる穴の空いた建材で、アスベストが吹き付けてある天井裏と室内の空気が流通しており事実上アスベストが露出している状態です。早急な対策が必要と思われます。○○機械室の天井は吹き付けアスベストが完全に露出しています。
8.建物におけるアスベスト建材の使用状況
吹き付けアスベスト
事務所棟及び○○棟の屋根裏に使われています。
吹き付け面が露出しているのは○○機械室の約36uですが事務所棟の2Fの事務所は天井材は空気を通す建材で事実上アスベストが露出しています。早急な対策が必要です。
△△棟
※建物の外観の写真はプライバシー保護の為削除しました。
△△棟天井裏に吹き付けられたアスベスト
△△棟の天井裏全面に吹き付けられています。厚さは15〜20mm程度です。
全面に吹き付けられています。
2Fの事務室の天井は有孔ベニアに塗装した物が施工されています。この仕上げ材は通常は空気の流通を防ぐ為、裏面に紙が貼られている場合が多いのですが、この事務所の天井ではカンレイシャ(網)が張られていて、空気が流通しています。事実上吹き付けアスベストが露出しています。早急な対策が必要です。今後特に天井裏での工事等には注意が必要です。
天井材の上面に埃などはほとんどなく建物の年数のわりには大変きれいです。何らかの改装工事の時に清掃された可能性があります
天井裏より仕上げ材を撮影
△△棟の設計図
”トムレックス又ハ、リンペット”の記載があります。(両方とも吹き付けアスベスト)
事務所棟2F事務室天井材
天井裏面から撮影
多数の光が漏れている
※トムレックスはニチアス(日本アスベスト)が生産した吹き付け材の商品名ですが、当時吹き付け材料の代表的な商品で、商品ではなく吹き付けアスベストを指す言葉として使用されていたようです。
したがって、トムレックスとは別の商品が使用されていた可能性もあります。
ただし建物の年代からもアスベストであることはほぼ間違い無いと思われます。
潟jチアスのHPより抜粋
アスベストの種類は年代より違います。白、茶、青石綿が使用されていいたようです。含有量60〜70%です。
図面の記載によりますと△△棟の竣工は1960年です。
○○棟
※建物の外観の写真はプライバシー保護の為削除しました
吹き付けアスベスト(研修機械室)
○○棟の屋根に接する天井面のほぼ全面に吹き付けられています。食堂にはすでに天井が施工されていて対策済みです。○○機械室の約36uに吹き付けアスベストが露出しています。この部分のアスベストは吹付塗料で塗り固められていますのですぐにアスベストが飛散する状況ではありませんが、一部に配管を止める為にアスベストをめくった為アスベストが直接露出しています。
天井の設置などの対策の検討が必要と思われます。
○○棟の図面
トムレックスの記載
アスベストが含有してる可能性のある吹き付け材
△△棟○○機械室にひる石吹き付材が施工されています。
この吹き付け材にアスベストが含まれる可能性があります。
ひる石吹き付け
簡単に剥がれる。
※建材は施工されてしまうと、メ−カ−、製造時期などはほとんど分かりません。図面等で指定があっても現場の判断で他のメ−カ−の同等品に変更される場合も多々あります。したがってアスベストを含んでいるかどうかは、分析業者で分析しないとはっきりしません。
その他工場内で使われているアスベスト含有建材
その他のアスベスト含有建材です。詳細については調査中ですが、概要を列記します。
○ロックウール吸音板
□□棟の廊下天井に使用されています。この材料は天井の仕上げ材に使われております。
接着材で固められており飛散の心配は無いとされています。
ただし材料が柔らかく軽いため、工事等の場合注意が必要です。
1987年以前に製造されて物に含有されていて、最近施工された物には含有していません。
○塩ビ床タイル
△△棟、××工場、□□棟に使われています。
製造時期によってアスベストが含有の有無が違います。
アスベストが含有していても塩化ビニールで固められておりあまり飛散の心配は無いとされています。
○スレート波板
工場内の各所の外壁、屋根に使用されています。
昨年までアスベストを含有した物が製造されていました。工場内のほぼすべてのスレート波板がアスベストを含有しています。
※スレート波板の写真はプライバシー保護の為削除しました。
○石綿センメント板
××工場天井、旧○○倉庫の外壁に使用されています。
この建材は一般にフレキシブルボード(商品名)と呼ばれています。最近まで製造された物にアスベストを含有していますので、 工場内のすべてのものにアスベストが含有していると考えられます。
○ケイカル板
正式名称はケイ酸カルシウム板で主に水回りの天井、軒天に使用されています。
△△棟、××工場の廊下、第一工場のトイレ天井など各所に使われています。
1990年代前半のものまでアスベストを含有しています。
9. 配管の保温材について
蒸気配管を中心に調査しましたが調べた限りは、蒸気配管などにはガラスウールで防熱されています。
但し工場内の配管は膨大な量ですべてを調査すること難しく、一部にアスベストが使用されている可能性があります。またパッキン、コ−キング類につきましては、外から見分けるのはほぼ不可能です。
10.アスベスト含有建材の今後の対応について
工事や解体撤去する場合について
今後工事や解体する場合、吹き付けアスベストが使用されている建物は注意が必要です。
現状では吹き付けアスベストで一定の広さ以上の建物を解体する場合は官庁への届け出が必要です。
○吹き付けアスベスト
撤去、解体する場合完全に仮囲いをして、飛散対策をする必要があります。また一連の報道以後、専門業者に発注の集中、作業員が集まらないなど、費用も高騰しているようです。
また廃棄についても、一般の産業廃棄物業者では処分できません。
○形成板
解体、撤去には今のところ規制はありません。手作業での解体、散水などの飛散対策をすればよいとされています。但し非飛散性アスベストでも解体時にはかなりのアスベストの飛散があることが分かっており、今後何らかの規制が設けられる可能性があります。廃棄に付いても現状はでは”がれき”として安定型処分場にて処分できます。ただし今後は新たな規制でアスベストを含む建材が管理型の処分場にて処理となる可能性もあります。
非飛散性アスベスト(石綿)とされている建材でも、解体時にかなりな量のアスベストが飛散することが分かってきました。
今後、建物の解体、改装などの工事の際は注意が必要です。
別紙にアスベスト含有建材に付いての分布図と資料を添付します。
資料の中のアスベスト(石綿)の種類で
クリソタイルは白石綿、アモサイトは茶石綿です。
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